印刷物からウェブへの移行を起点に、
組織として新しいフェーズへ。
TOYAMA ADC

富山県で活動するアートディレクターで構成され、アートディレクションの審査会開催を主な活動としている「TOYAMA ADC(富山アートディレクターズクラブ)」。 毎年開催している審査会の受賞・ノミネート・入選作品は、これまで冊子の年鑑として発行されてきましたが、2025年度より、ウェブサイト上でのアーカイブへと移行することになりました。これに合わせ、ウェブサイトと審査会エントリーシステムを刷新。これまで手動で管理していた応募作品のデータを一元化し、当日のタブレット審査からアーカイブ掲載まで、一貫して管理できるようにしました。 また、サイト更新や会員情報の管理、一斉メール配信機能も備えており、会の業務全体を効率化する総合管理システムとして開発しています。 リニューアルから1年以上経ち、実際の審査会開催や、年度を通した運営を経て、どんな変化を実感しているのか。TOYAMA ADC会長の門嶋さんと、ウェブ担当の島野さんにお話を伺いました。
お話を伺った方々

株式会社Dnet、株式会社mitaiを経て、現在はフリーランスのアートディレクター/グラフィックデザイナーとして、広告・グラフィック制作を中心に活動。2025年度より、TOYAMA ADC会長就任。

こびとデザイン(パソコン職人 A.I.PC 内)として、グラフィックデザイン/イラスト/ウェブサイト/動画制作を中心に活動。2017年より、TOYAMA ADCウェブ担当。
TOYAMA ADC
富山県内在住のアートディレクターをはじめ、広告・デザイン制作に携わるクリエイターで構成。主な活動としてTOYAMA ADC審査会・TOYAMA ADC展の開催、年鑑の発行を行っている。
プロジェクト立ち上げの背景
—まず、TOYAMA ADCのウェブ年鑑プロジェクト立ち上げの経緯や理由について、あらためて教えてください。
- 門嶋さん
- プロジェクト開始の数年前から、企画自体は浮上していました。僕は前会長の代から積み上げられたこの企画を引き継ぎ、会の30周年のタイミングに施行しました。 ストレートに言えば、冊子の年鑑の印刷費や、在庫管理のコストなどに端を発しています。それらを解消しつつ、永続的な作品アーカイブ、ネットによる広範囲発信など、時代に即してチューニングした新たな形が、ウェブ年鑑への移行でした。
—ウェブサイトリニューアルの目的や目標として考えていたのは何ですか?
- 門嶋さん
- 管理・運営の効率化と永続的なアーカイブにより、少しでも実仕事やプライベートの時間を充実させられるようにして、会員のメリットを高めることです。結果、それぞれの結晶が、会の運営にも良い影響を与えると考えています。

ウェブサイトリニューアルの過程
—ウェブ年鑑プロジェクトを含めた審査会などの業務進行のために、どのようなことを意識されましたか?
- 門嶋さん
- 新しい管理システムの導入で、審査会からウェブ年鑑掲載までの一連を、視覚面、業務面ともに、いかに一気通貫で行えるかが課題でした。また、SNSとの連携も意識していました。
—リニューアルしたウェブサイトや、総合管理システムを初めて見た時の印象はいかがでしたか?
- 門嶋さん
- リニューアル当時の、アートディレクターの高森崇史さんによるメインビジュアルも効果を成していたと思いますが、とてもクールで洗練された雰囲気。機能面の充実も見張るものがあって、まさに花実両全という印象です。

—初めて総合管理システムを導入した審査会など、実際の業務で何か印象に残っていることはありますか?
- 門嶋さん
- タブレット審査が、リアルタイムに本部のマスターデータに記録・集計されるのは素晴らしいと思いました。
公開・導入後の成果
—ウェブサイト公開後、ADC会員の反応はどうでしたか?
- 門嶋さん
- 待望のサイトが刷新されたことで、皆の士気も上がり、新鮮な気持ちになったと思います。
- 島野さん
- 会員は、ウェブ関係にあまり詳しくない方が多いので、どこまで作業が楽になるのか、そこまで具体的にイメージできていなかった面もあると思います。なので、「すごーい! 今までこれは手作業だったのに……」や「指さし確認要らないの?」といった、現場での驚きの声が多かったように感じました。

—協賛企業や他県のADCなど、関係者の反応はどうでしたか?
- 門嶋さん
- 協賛企業の皆さまからは、ご時世的にも、ペーパーレスへの大方の理解はいただけました。協賛広告のウェブサイト掲載などによる、広範囲テリトリーへの期待も大きいものでした。 他県のADCからは、まだ具体的な反応はないのですが、今後、さまざまな声が聞けるだろうと予想しています。
—システム導入後、どのくらい業務効率化を実感できましたか。また、特に何の機能が効率化につながったと感じていますか。
- 門嶋さん
- これまでのエントリーシステムは、審査開始までの部分的な活用でしたが、エントリー〜審査〜結果表示〜作品アーカイブに至る一連が通しで管理運営されたことで、使う側にも大きな安心感が生まれました。 まだ実感としてリアルではないですが、具体的に効率化を感じたのは、エントリー費の自動計算と、入選・選外の記録ですかね。
- 島野さん
- 応募者の個々のアカウントで、入選した作品を確認できるのが、すごく助かります。今まで私が審査会当日の夜に手動で対応していた、入選リストを作って、ウェブサイトにPDFをアップして……といった作業がなくなったので。

ウェブサイト・システムの運用について
—実際に応募者としてエントリーしてみて、応募者専用ページの使い勝手はいかがですか。
- 門嶋さん
- 初めは不慣れで戸惑うところもありましたが、操作に慣れれば、とても便利なシステムだと感じます。
—ウェブ更新担当の島野さんは、管理者専用ページの使い勝手はいかがですか。
- 島野さん
- 操作性も良く、大変使いやすいです。 実際に使ってみてからは、バグ報告や操作方法の変更、機能追加など多々リクエストもしましたが、その場ですぐに対応してもらえることも多く、対応の速さも驚きです。

—「こんなこともやってみたい」「こうしたらもっと使いやすいのに」などのご要望はありますか。
- 門嶋さん
- 審査関連以外でも、インタビューや座談会のような記事を掲載できる、特集コーナーのようなスペースがあっても良いと思います。
今後の課題・展望
—会員や関係者の声を聞いたりなど、1年間の活動を経て、何か気づいたことはありますか?
- 門嶋さん
- 審査会前と後でウェブサイトにあまり変化がないので、違いがわかりやすいように、メインビジュアル等での見た目の工夫はしていきたいと思います。
—サイトリニューアルをふまえて、あらためて、今後のADCの課題や展望について教えてください。
- 門嶋さん
- ウェブサイトのリニューアルを起点に、TOYAMA ADCの新しいフェーズに入ったと思っています。印刷物の年鑑を作らなくなったことで、時間や経費面でのリスクは減ったものの、それに変わる新たなメリットや役割、楽しみを見つけていきたいと思っております。

