地方の一生活者として。フルエンスの
社名と、ブランディングに込めた想い。

fluence合同会社(以下、フルエンス)は、2025年6月の設立に際し、自社のブランディングとして、社名・ロゴ・VI(ビジュアルアイデンティティ)、およびビジョン・ミッション・バリューを策定しました。これらは、ウェブサイトや提案資料、SNSに至るまで、アウトプットのたびに「会社としてどうあるべきか」に立ち返るための軸として活用しています。
私たちと同じように、新規事業の立ち上げとブランディング、もしくは既存事業のリブランディングを検討されている方の参考になればと考え、フルエンスのブランディングの過程と、それぞれに込めた想いを詳しく解説します。
社名・ロゴ・VI
覚えやすく、他社とも差別化された、企業理念ともリンクする社名へ
会社設立以前は、代表/デザイナーの谷崎の個人事業「LYRICODE」を屋号としてウェブ制作を行っていました。しかし、徐々にエンジニアの上野が参入するようになり、共同代表体制に移行するにあたって、谷崎の個人的な好みが多分に反映された屋号を一新し、法人としての信頼感のある社名に変更する必要がありました。
また、親しみやすく覚えやすい語感でありながら、他社とも差別化された、検索性の高い社名であることも条件でした。
そこで候補に挙げたのが、fluent(=流暢な)の派生単語で、物理用語で「流束量」を意味する「fluence(フルエンス)」。抽象的な言葉ではありますが、その分、解釈によっては展開させやすく、後述するVIや、バリュー/メインキャッチコピーの「デジタルと人の幸せをなめらかにつなぐ」ともリンクした社名になっています。
知名度の高い「science(サイエンス)」とも近い語感で、一度聞けば覚えやすく、声に出しやすい点も後押しになりました。

ロゴ・VIのデザインは、ブランド資料を作成したうえで外部に依頼
ロゴは、以前からたびたび協業させていただいている、デザイン事務所のT&Kさんにお願いしました。また、ロゴと合わせて、「『fluence』をビジュアルで表現した、VIにもなるグラフィックをご提案いただきたい」という希望もお伝えしました。
イメージのすり合わせのため、事前にビジョン・ミッション・バリューやブランドの背景、市場におけるポジショニング・ベンチマークの四象限マップなどを、ブランド資料にまとめたうえでご依頼しています。

ロゴはいくつかご提案いただきましたが、事前にイメージを共有できていたこともあり、T&Kさん一押しの案にスムーズに決まりました。中性的でありながら、柔らかい雰囲気で視認性も高く、どんな人も親しみやすいロゴタイプに仕上げていただいています。
VIについては、「fluence」という言葉が抽象的なため、ビジュアル化が非常に難しい題材でしたが、ゆるやかなカーブを描く波形として、見事に表現いただきました。このVIは、スタッフごとに波形に変化をつけて名刺に印刷しているほか、T&Kさん監修のうえ、フルエンスがジェネラクティブ(自動生成)アニメーションを制作し、ウェブサイトの背景に取り入れています。

書体については、VIとの統一感のあるなめらかさ・ベーシックさや、ウェブサイトでの使いやすさも考慮し、和文書体に「こぶりなゴシック」を、欧文書体に「Aktiv Grotesk」を採用しました。
これらの書体は名刺や会社資料、ウェブサイトなど、すべての媒体で共通して使用しています。

外部依頼という形をとったのは、もちろんT&Kさんのすばらしいビジュアル化の力をお借りしたかったのもありますが、第三者目線から「フルエンスらしさとは何か」を客観的に見出していただきたかった、というのが一番の理由です。
「この方向性は違うのでは」「これは近いのでは」と意見を交わす中で、自分たちでもぼんやりとしていたビジュアルのイメージがクリアになり、ウェブデザインまで一貫したブランディングができたのではないかと思います。
ビジョン・ミッション・バリュー
フルエンスのビジョン・ミッション・バリューを策定するにあたり、「幸せ(Well-being)」「持続的」「暮らし」といったキーワードを取り入れることを強く意識しました。
昨今のSNSなどのデジタルコンテンツが、人間の依存性を利用して一時的な快楽を提供し続け、暮らしと地続きの持続的な幸福ではなく、目先の利益を優先している風潮に、危機感を覚えたからです。
世界中のあらゆるアプリが、広告が、最先端の技術を尽くして、現実世界での豊かな営みに費やせたはずの、私たちの時間を奪ってくる。何もしなくても膨大な情報が飛び込んでくるようになった一方で、主体性を失いデジタルコンテンツに振り回され続ける生活を、果たして「幸せ」といえるでしょうか。
もちろん、私たちもビジネスとしてデジタルコンテンツを制作するにあたり、「合理化」の大義名分のもとに、ある程度の利益を追求する必要があることは否定できません。また、当初の目的がそうであったように、使い方によっては、デジタルによる合理化が利便性につながり、結果的に生活の質を向上させる一面もあります。
だからこそ、私たちも経営者である前に、地方の一生活者であるという事実に立ち返り、常に「利用者/顧客/スタッフの持続的な幸せにつながるか?」を考え続けること(これは、フルエンスの4つの行動原則にも取り入れています)が、より良い仕事につながるのではないかと考えました。

ビジョン「ビジネスと暮らしにデザイン思考を普及する」
「会社は将来的にどうありたいか」。ビジョンとは、現状の事業領域からなるべくスケールを大きくした、理想の姿を言語化したものと考えます。
フルエンスは、仕事と生活の両面で、複雑な課題をわかりやすく整理して解決へ導く「デザイン思考」を、なるべく多くの人に普及したいと考えています。
ミッション「デザインと技術で本質的な幸福を追求する」
「会社が取り組むべきことは何か」。ミッションとは、主に現状の事業領域を通して実現すべきことを言語化したものと考えます。
フルエンスは、デザインと技術の両方をバランスよく駆使して、一時的・表面的な変化だけではなく、持続的・本質的な幸福を追求したいと考えています。
バリュー「デジタルと人の幸せをなめらかにつなぐ Well-being through Digital Design」
「会社が提供できる価値は何か」。バリューとは、主に現状の事業領域を通して、顧客に提供できる価値や利益を言語化したものと考えます。
フルエンスは、「fluence」の社名が示すように、デジタルコンテンツと現実の暮らしの間を、できる限り妨げることなく、デザインを通してなめらかにつなぐことで、幸せ(Well-being)を実現することが自社の価値であると考えています。

ウェブサイト
ウェブ制作会社であるフルエンスが、自社のブランディングを行うにあたって、やはり、ウェブサイトのデザインやコンテンツが重要になります。
ロゴ・VIの制作と並行して、一貫したブランディングになるよう、サイトのトーン&マナー統一やコンテンツ制作を行いました。
余計なことはしない。でも、個性も感じられる「ここちいい」ウェブデザイン
フルエンスの事業は、地方の中小企業や自治体を主なターゲットとしています。また、可能な限り、元請けやそれに準ずる形で、顧客と直接コミュニケーションが取れる体制を目指しています。
そうした事情も考慮しながら、ブランディングについて協議した結果、「カッコつけない、余計なことはしない」デザインが大事なのではないか、という視点にたどり着きました。

デザイン会社のサイトは、デザインセンスやスキル・技術力の高さをアピールするため、わかりやすさよりも、スタイリッシュさであったり、凝った演出や派手な動きを優先していることが多いです。同業者や広告代理店、あるいはそうしたデザインを必要としている顧客に対しては有効かもしれませんが、フルエンスのターゲットは、多くの場合そうではありません。デザインに明るくない、一般的な中小企業にとっては、センスをアピールしたところでその良し悪しは判断できないため、言わば「余計なこと」になってしまいます。
これをふまえて、「カッコつける」のはぐっとこらえ、顧客にわかりやすく情報を伝える以外の「余計なことはしない」、ベーシックで誠実なトーン&マナーを意識してデザインしました。
また、わかりやすさを最優先として、やはりデザイン会社のサイトにありがちな「About」「Works」などの英語ではなく、「会社情報」「制作実績」などの日本語をメニューで使用しています。
とはいえ、ただ尖った個性や装飾を排除しただけでは、結局、数あるウェブ制作会社の中に埋もれてしまいます。必要さえあれば、技術に基づいた高度な動きや幅広いデザイン表現を用いて、より「らしさ」や独自性を高めたサイト制作が可能なのも事実です。
そこで、背景でたえず動くVIのジェネラクティブアニメーションや、ページの非同期遷移、カードをめくるようなホバーアクションを、情報のわかりやすさを邪魔しない程度に取り入れることで、より「フルエンスらしい」「ここちいい」閲覧体験を演出しています。
クライアントへのインタビュー記事を中心とした、「画面の向こうにある暮らし」が見えるコンテンツ

ウェブ制作会社を検討するにあたり、制作実績は、何よりも重要な比較材料になります。
しかし、多くの会社が実績として掲載しているのはウェブサイトのデザインや画面だけで、制作によって、具体的にどんな良い影響があったのかは、そこからは読み取れません。
特に、私たちが活動する富山県周辺では、顧客の顔が見えるコンテンツを前面に出している会社が少ないことを好機ととらえ、今までフルエンスがウェブ制作を担当させていただいたクライアントさまのインタビューを行いました。
ありがたいことに、複数のクライアントさまに快諾いただき、また、ウェブ制作後に事業も良い方向へ進めているといったお話も伺えました。その際のインタビューを記事に起こしたうえで、現場の雰囲気をおさめた写真とともに、フルエンスのメインビジュアルに配置しています。
結果、ウェブ制作を通してフルエンスが実現したい、「画面の向こうにある、より良い暮らし」を、多少なりとも感じられるサイトにできたのではないかと思っています。
実感したブランディングのメリット
ブランディングは、じっくりと長い時間をかけて、事業に良い影響を及ぼしていくことがほとんどです。そのため、会社を設立しておよそ1年経った現状では、まだそこまで多くのメリットは実感できていないというのが正直なところです。
しかし、ビジョン・ミッション・バリューを策定したうえで、ロゴ・VIのデザインを外部へ依頼したことは、事業展開の柱となる「フルエンスらしさ」を客観的に定義する、良い機会となりました。
これからも、制作の仕事やウェブサイトの運営を通してブランディングを実施し続け、効果を図り続けたいと思っています。
フルエンスでは、自社でもブランディングを実演しながら、そのノウハウを生かした、ブランディングから支援するウェブ制作などのサービスをご提供しています。
成果につながり、「より良い仕事や暮らし」を実現するデジタル施策をご検討中の方は、ぜひフルエンスにご相談ください。ウェブ制作の予定がなくても構いません。良い方向へ進むために、今、取り組むべきことを一緒に考えます。


